見積りが高くなる理由
『今』、プロジェクトを成功させたい
と思っている人の為の
Webインテグレーター細川です。
あなたは今、ITを駆使して何かビジネスをはじめたいとします。
自分たちだけではシステムはつくれないので、外部の企業にお願いすることになった場合、
まずは何を依頼しますか?
IT業界の受託ビジネスの商習慣上、お客さんは必ず、見積りをとりつけます。
まぁ、IT業界に限らず、車の修理だって、
「この故障直すのにどのぐらいかかるんだろう」、と疑問に思うので、
まずは見積りをとりつけると思います。
見積りをとりつけること自体は特に問題ないのですが、
この見積り、ITの受託業界においては、なかなかの"曲者"なんです。
見積りが高い!
外部の企業に見積りの依頼をすると、大抵は自分たちが思っていた価格より高いものが出てきます。
この業界に、共通の"モノサシ"がないので仕方ないところもあるのですが、
なぜ 「自分たちが思っていた価格よりも高い」
ものが出てくるのでしょうか?
理由はいろいろあるのですが、 大きな理由の1つとして、
「受託企業が(請負契約の場合に)完成責任を負っている」
というのがあります。
この、ITの受託業界では常識の「完成責任」ですが、
お客さんからの注文でつくるオーダーメイドのシステムに対して完成責任を負う、
というのは、実はITの受託業界では、本当は難しいことなのです。
建設業など、つくるものが予め決まっている(図面通り)場合はそれでいいのですが、
IT受託は要件定義の段階ではまだ曖昧なところが多く、実際要件定義以降にころころと仕様が変わります。
そんな
「つくるものが完全には決まっていない」
ものを
「オーダーメイドでつくる」
場合に、
完成責任を負うのって、すごく難しくないですか?
「つくるものはちゃんと定義してないけど、完成責任は負ってね」
というのは、
建設業界で言ったら、
「図面はちゃんと出来上がってないけど、注文した通りに家を完成させてね」
って言われてるようなものではないでしょうか。
でも、ITの受託業界では、受託企業が完成責任を負うのが「常識」になっています。
この業界に15年以上いますが、お客さんも、上司も同僚も、下請け業者さんも、 誰1人この状況に疑問を持っている人を見かけたことがありません。
冷静に、かつ客観的にみても、この状況で仕事を請けるってすごくリスクが高いと思いませんか?
そうです、そうなんです。 めちゃくちゃリスクが高いんです!
そんなリスクが高い仕事を請けるにはどうすればいいか?
価格に転嫁するのです。
業界用語では「コンティンジェンシー」とか、「バッファ」なんて言ったりしますが、
要は見積りをつくる時に、
「曖昧な仕様が多いので、よくわからないけど絶対余計にコストがかかるから、その分を事前に見積りに載せておく」
という措置をとるのです。
(これを便宜上「予備費」と呼びます)
この予備費が、結構積まれているのですが、
このコストって、お客さんにとっては非生産的なコストだと思いませんか?
だって、「完成責任を負わせる」って理由だけで発生した「コスト」なわけですから。
受託企業にとっても、この予備費は決して「美味しい」代物ではありません。
この予備費を得る代わりに、毎日なかなか帰れない高稼働という代償を払うことになります。
予備費=「高い見積り」と、高稼働=「疲弊」
お客さん、受託企業、どちらにとってもwin-winではありませんね。
こうした「非生産的なコスト」=「予備費」といったものは、
ITの受託業界から排除すべきだと考えています。
だって無駄じゃないですか。
コストはもっと生産的な活動に費やすべきです。
この予備費が積まれていなければ、
● もっと機能を追加したり
● マーケティング活動に費やしたり
● 技術革新に費やしたり
できるのです。
我々受託企業も、見積りを高くしたいわけではありません。
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